試験に合格してから開業まで、短くても4か月程度かかります。
その間にやるべきことはたくさんあります。
忙しくて息をつく暇もありません。
やることがない、暇だ、という人は何か間違っています。
やるべきことの中で需要なものの一つは、実務の勉強です。
行政書士は仕事の範囲が非常に広いと言われています。
行政書士として生計を立てるためには、その広い範囲の仕事をすべて行うのではなく特定の分野に特化し、専門業務を絞るべきといわれています。
そのため、あなたが何らかの理由で選んだ専門業務の分野のことを重点的に勉強しておけば効率が良いと思われます。
しかし、開業前から特定の業務だけに絞っても大丈夫でしょうか。
開業直後を想像してみる
さあ、開業初日です。
あなたは事務所に一人、緊張の面持ちでたたずんでいます。
そこへいきなり電話がかかってきました。
慌てて受話器を取るあなた。
「はい、行政書士○○です」
何度もイメージトレーニングしていたはずなのに多少噛み気味で嫌な汗をかきます。
受話器の向こうにいる人はどんな問題個超えているのでしょうか。
あなたが開業前にしっかりと勉強してきた専門にしようとしている業務に関することでしょうか。
残念ながらそんなに甘くはありません。
思いもよらないことについての質問かもしれません。
そんなときあなたはどうしますか。
想像してみましょう。
知らないことには答えられませんね。
いい加減なことをいう訳にもいきません。
それではどうやって切り抜けましょうか。
対処方法を誤ると、「あの行政書士はダメだ、頼りにならない」なんて口コミが広がることにもなりかねません。
しかし、このような状況をうまく対処できる新人行政書士は皆無ではないでしょうか。たぶん。
それでは、あなたはどうするべきなのでしょうか。
試験に合格しても勉強は続く
開業までに、できる限り実務の勉強をしましょう。
必要な知識は、インターネットで簡単に手に入る情報プラスアルファです。
プラスアルファとして、専門書と実用書を少なくとも一冊ずつは読みましょう。
このプラスアルファがあなたを専門家たらしめることになります。
電話で質問をしてくる方はおそらくネットでいろいろ調査済みです。
そのうえでまだ疑問点があるのでわざわざ電話までしてくるのです。
なので、もしあなたがネットで手に入る知識しか持っていなかったら、
「なんだ、専門家のくせに使えないな」
などと、見下されることになります。
これを回避するためにはプラスアルファ、すなわち専門書+実用書を読むことが必要です。
これらの本を一般の人が読むことはほぼありません。(と信じることにする)
このプラスアルファが、質問者に、電話してよかったと思わせるのです。
質問はどういう内容かわからないため、常に上手くいくとは限りませんが、準備は怠ってはいけません。
勉強の範囲は思いつくところすべてす。
この段階での知識は「広く浅く」です。
あなたが専門にしようと思っている分野については、手当たり次第に10冊程度の本をとりあえず読むべきですが、それ以外の分野に関しては、電話対応に対する保険みたいなものですから、なるべく広い知識の習得を意識すればいいでしょう。
電話対応のときに考えることは、面談、受注までに持っていくためにはどうしたらいいか、ということです。
質問に答えられず、あたふたした雰囲気を相手に悟られてはいけません。
あなたがその知識を持っていれば余裕を持てるでしょうし、知識がない場合でも慌てることはありません。
もうちょっと具体的に聞きたいとか、言葉だけでは難しいので会って説明したいとか、自分は全てわかっているんだぞという雰囲気を出しながら、面談にもっていきましょう。
電話ですべてを答えた方がいいときもあるでしょうか、すべて答えることはありません。
どんな状況だろうと、質問者に対して、専門家という立場を維持するためにも日々勉強を続けましょう。
それは開業してからも同じです。
狭く深く、広く浅く
専門にしようと思っている分野は狭く深く、それ以外の分野は広く浅く、ということを意識して勉強していきましょう。
試験のための勉強ではなく、収入を得るための実務の勉強です。
それを意識して、頭を切り替えましょう。
相談者や依頼者と会うときには、すべての分野でその道の専門家として振る舞いましょう。
実務の勉強はそのためにするのです。 しっかり準備をして開業を迎えましょう。