行政書士が専門業務を決めるときに考えるべき7つのこと

行政書士の業務の種類は多岐にわたります。メインとなる許認可に関わる業務の種類を正確に把握している人はいないでしょう。それほど多いのです。

しかし、現実に行政書士が取り扱っている業務は、いくつあるかわからない膨大な数の中のほんの一部です。とはいえ、ほんの一部といっても100は下らないでしょう。それに加えて、権利義務に関する書類や事実証明に関する書類に関わる業務もあります。

稼げる行政書士になるには、これらの膨大な業務の中から専門業務に特化すべきとよく言われます。

それでは、あなたはその専門業務をどのように選べばよいのでしょうか。

その業務の需要は?

あなたが思い浮かべている業務はどんな業務でしょうか。その業務は月に何件くらいの受任が見込めますか?

まずあなたが考えなければならないことは、その業務にどの程度の需要があるかということです。

どれほど高額報酬が見込めようとも、その業務にライバルがいないとしても、仕事の依頼がなければ意味がありません。

ニッチな業務を探し出そう、という話をあなたも聞いたことがあると思います。あなたはそれが可能だと思いますか?まだ誰も気が付いていない、美味しい業務が残っていると思いますか?冷静になって考えてください。

また、法改正を狙うという方法もよく言われます。

しかし、新人行政書士がタイミングよく法改正の波に乗れるでしょうか?もともと知識も経験も劣る新人が手を出せるような業務でしょうか?これも冷静になって考えてください。

需要のある業務は、ベテラン行政書士が押さえていて新人の入るスキマがないとも言われます。それは本当でしょうか。

例えば、建設業の許認可業務は最もポピュラーな行政書士の業務です。これはほぼ地域を問わず、どこにでも需要があるからこそ、最もポピュラーであると考えられます。

ここに新人は入り込めないと言っている人はどんな人たちでしょうか。それは新人に入ってこられたら困る人たち、つまり、建設業の許認可で稼いでいる人たちではないでしょうか。

そのような人たちの口車に乗る必要はありません。

また、需要がありポピュラーな業務は、その仕事の方法、手順が確立されており、それに関する書籍なども多く出版されています。つまり、新人にとって学びやすい業務であると言えます。

加えて、わからないことに出会ったとき、相談する人を見つけやすく、新人行政書士にはうってつけといえます。

以上より、まずは最も需要のありそうな業務を考えてみてはいかがでしょうか。

あなたの地元の地域性は?

都市部と地方は多くのことで違いがあります。この違い、すなわち地域性を考慮しないで専門業務を決めるのは自殺行為です。

それぞれの地域には特徴があり、その特徴に応じて需要が異なります。

都市部で繁華街の規模が大きければ、風俗営業許可の仕事が多いかもしれません。地方都市で市街化区域にまだ田畑が多いところでは農地転用の仕事が多いかもしれません。

日頃から地域の特徴を考え、街を観察しておく必要があります。また、同業者のホームページをチェックしてどのような業務を扱っているか、また、市町村のホームページをチェックしてどのような許認可がどの程度の規模で行われているか、しっかりと調査し、その地域にあった業務を選びましょう。

ライバルは誰だ?

ライバルのことを考えるのも重要です。ライバルは同業者、行政書士なのか、それとも他士業なのか。

許認可に関わる業務は行政書士の独占業務ですので、ライバルは行政書士です。したがって、許認可業務を選ぶ場合は、あなたのまわりの同業者を見渡して、どのようなライバルがどのくらいいるのか調査すべきです。

また、例えば、昨今の高齢化社会において、相続関連の業務ですが、今後ますます増加していくと考えられます。相続関連の業務を扱う行政書士も年々増加しています。

しかし、この業務のライバルは行政書士だけではありません。弁護士、司法書士、金融機関等、様々な機関がライバルとなります。

相続関連は需要が増加しそうだからといっても、上手い話だけではないということです。他士業その他の機関と血で血を洗う、まさにレッドオーシャンです。

また、今後増加が見込まれる入国管理業務に関しても弁護士がライバルとなります。一般的な認知度や弁護士という「格」に行政書士は負けます。需要は増えるとはいえ行政書士にとっては厳しい領域になるかもしれません。

行政書士だけではなく、そのほかのライバルのことも考えて専門業務を選びましょう。

顧客となるのはどんな人?

顧客は法人か個人か、という観点です。

新人行政書士が開業する場合、まずは自宅を事務所に選ぶ人もいると思います。その場合、個人の顧客は対応しにくくなります。

その理由は、面談がやりにくいからです。

自宅を事務所として開業する場合、顧客との面談は、顧客先で行うことが前提になると思います。

顧客が個人の場合、行政書士を自宅に上げることに抵抗を持つ方もおられます。来る前に掃除をしなくちゃいけないとか、こちらが気にしなくても相手は気にするかもしれません。

自宅以外の場所、例えば近所の喫茶店とかで面談を行った場合、個人的な話を他の誰かに聞かれるかもしれないという状況では話しにくいと考えられます。

それに対して、顧客が法人の場合は、顧客側の会社、事務所に出向いて面談を行うことが一般的だと思います。つまり、自宅開業でも問題ないということです。

以上のことから、顧客は誰か、という観点も業務選択の材料にしてみてはいかかでしょうか。

報酬はどのくらいか?

報酬額を考えることは避けて通れません。次の二つのことを考えてみましょう。

一つは、報酬額と仕事の件数、つまり、低価格だと数多く受任する必要があり、高額だと少なくても良い、ということです。

高額報酬だけど、年に1回くらいしか仕事がないようでは困りますし、仕事の依頼は毎日何件もあっても利益が出ないようでは困ります。

行政書士として特化する分野を決めるための参考データ
にいくつかの業務の報酬額をまとめていますので、参考にどうぞ。

もう一つは、あなたが選ぶ業務の報酬額をどのように決めるか、という観点です。平均の報酬額を選ぶか、それより少し高く、又は低くするか。悩みどころです。

しかし、あくまでも、いかに利益を上げるかということを考えて報酬額を決めてください。

そして、選んだ業務で利益を上げることが可能か、という観点が必要です。

最後は決める勇気

しかし、まだ何もやったことがないのにいろいろ考えても始まりません。考えても答えが出ないと思ったら、思い切って、くじでも引いて決めてしまいましょう。

上手くいかなかったら、やり直せばいいんです。行政書士という仕事は他業種と比較して、少ない資金で開業できるため、やり直しがききます。失敗したら、別の業務に切り替えればいいんです。何度でもやり直せばいいんです。

その失敗は必ず未来のあなたにプラスとなって帰ってきます。

成功するまでやり直せば、あなたは成功者です。

それでも決めない勇気

専門業務を決めない、というのも一つの選択です。開業当初は、来る者は拒まず、何でもやるつもりで始めてみるのもいいでしょう。

実際に、いくら専門業務を決めたとしても、最初からバンバン依頼が来るはずもなく、何でもやるつもりでいないとやっていけません。

しばらくは何でも屋でいろいろな経験を積んでから専門業務を選ぶというのは実は、王道であったりします。

以上7つを挙げてみました。参考になれば幸いです。

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