さあ、あなたは行政書士試験に合格しました。
おめでとうございます。
ほっと一息つきたいところでしょうが、そんな場合ではありません。
これから開業に向けて忙しくなりますよ。
試験勉強の計画はいいかげんでも、開業準備の計画はきっちりと立てておきたいものです。
合格・不合格のような不確定要素はありませんから、しっかり着実に進めていきましょう。
1.行政書士試験合格 ←いまココ
苦しい勉強を乗り越え、あなたは清々しい気持ちであふれていることでしょう。
ちょっとゆっくりしたい気持ちはわかりますが、早め早めに行動を起こしましょう。
2.事務所用のクレジットカードつくる
会社員である間にクレジットカードを作っておきましょう。
退職した後だと、審査に落ちる可能性があります。
事務所の屋号でカードを作りたいところですが、開業前には無理ですし、開業後も数年の実績が必要とされる場合が多いので、この時期に個人名で作ってしまいましょう。
それに先立ち銀行口座も開業までの間ですが、開業資金の管理のために、新規に用意してもいいかもしれませんね。
3.退職 (会社員等の場合)
あなたが会社員の場合は、会社を退職することになります。
法律上では、2週間の予告期間を置けば、退職できるという規定になっていますが、期間によって報酬を定めた場合には、当期の前半に退職を申し出れば、次期に退職できるとされています。
つまり、あなたの給与が月給制であれば、その月初めに退職届を出せば、次の月に退職できるということです。
最大で1か月とみておけば問題ないと思います。
会社の就労規則に規定があるかもしれないので、チェックしておきましょう。
民法の規定が優先されるといわれていますが、余計なもめごとは避けるべきだと思いますので、よほどのことがない限り、会社の就労規則に従った方がいいでしょう。
当然のことですが、退職するまではしっかり、まじめに仕事をしましょう。
立つ鳥跡を濁さずです。
また、退職後は、年金や健康保険の変更などそれなりにやらなければならないことが多いですが、ちゃちゃっと片づけましょう。
4.行政書士会登録申請書入手
登録申請書の入手は、会社を退職する前でも構いませんが、いちおうここで入手ということにしておきます。
事務所を開設する予定の都道府県行政書士会に出向き申請用紙をもらってきてもいいですし、インターネットでダウンロードしてもいいです。
都道府県行政書士会が自宅から近い場合は、一度足を運んでみてもいいかもしれませんが、ちょっと距離がある、往復の時間がもったいない、というあなたはダウンロードしましょう。
結構な種類の提出書類、添付書類があります。
今後、仕事として、許認可などのため、様々な書類の収集、作成をしていくことになるので、その練習とでも思ってみたらいいのではないかと思います。
各行政書士会によって若干異なることもありますが、以下のようなものです。
・登録申請書
・履歴書(日本行政書士会連合会の統一履歴書用紙)
・戸籍妙本
・住民票
・行政書士試験合格証(写しを提出、原本を提示)
・顔写真
・誓約書
・事務所の賃貸借契約書(または所有権を証する書面まど)
・事務所の位置図、平面図
・事務所の外観、内部の写真
・入会届
・登記されていないことの証明書
・身分証明書
・登録、入会に要する費用
・次回以降の会費
・登録免許税
はい、さっそく書類集めを始めましょう。
5.事務所選び
あなたが自宅を事務所として開業できるという場合は必要ありませんが、そうでないなら貸し事務所を探しに行きましょう。
家賃にあまりお金をかけたくないところですが、そこはあなたの開業資金と相談して選びましょう。
場所は、駅前、役所の近くや交通の便の良いところなど、一般的におすすめかもしれませんが、そういうところは当然、家賃が高いですね。
逆に市街地から遠く離れていても仕事に悪影響はない場合もありますし、場所選びには正解がないかもしれません。
しかし、後になって失敗したと思っても、そう簡単に引っ越しは、しにくいですし、慎重に選びたいところです 。
6.通信環境を整える
今どき不要だと思うかもしれませんが、固定電話、ファックスは用意しておいた方がいいと一般的には言われています。
電話とファックスの番号は分けた方がいいでしょう。
当然、携帯電話(スマートフォン)も必要です。
プライベートとは分けて契約しましょう。
事務所を不在にするときのため転送サービスのある回線が必要です。
ただし、外出中にいつでも電話に出れるとは限らないので、転送するか、留守電にするかをうまく使い分けることができればいいでしょう。
忘れてはならないのが、インターネット回線です。
古い物件ですと、光ファイバーが来ていない可能性もありますので、はやめに申し込みをしましょう。
7.レンタルサーバー、独自ドメイン入手
インターネット回線が引かれたら、レンタルサーバーと契約し、新規ドメインを入手しましょう。
ドメインは複数個必要です。
いくつ必要かはあなた次第です。
あなたの事務所のサイトの準備に早急に取り掛かりましょう。
サイトを立ち上げても検索エンジンに登録され、アクセスされるようになるまで、最低でも2~3か月かかると言われています。
ここは一刻を争います。
何があっても優先させましょう。
8.行政書士会登録申請書提出
4.の書類すべての準備を完了させ、申請書を提出しましょう。
明日でいいか、ではなく今日提出しましょう。
9.事務所備品購入
事務所は、場合によってはリノベが必要かもしれませんね。
入居できたら、備品の準備を勧めましょう。
必要なものは、
・机
・椅子
・キャビネット、本棚
・コンピュータ
・プリンター(FAX複合機)
・固定電話
・事務用品、消耗品等
・応接セット
多分他にもいろいろあります。
あまりお金をかけたくないですが、みすぼらしいのも考え物です。
まあ、あまり背伸びをしない方がいいでしょうね。
10.事務所調査を受ける
都道府県によっては、調査のないところもあります。
私の地元ではありません。
ただし、登録後に県の調査が入るかもしれない、らしいです。
調査がある場合は、あなたが所属する支部の役員の方などが来られるようです。 失礼のないように、お茶菓子なんかを用意しておきましょう。
11.登録完了通知が届く
登録申請書を提出してから、1か月から1か月半程度で通知が届きます。
場合によってはもう少しかかるかもしれません。
届くまでの間は、ゆっくりしていいわけではありません。
以下のことは進めておきましょう。
・事務所のサイトを構築していく
・実務の勉強
・職域の把握
開業して問い合わせが来たらもうあなたはプロですから、言い訳はできません。
準備はしっかりしておきましょう。
12.表札、職印作成
職印には定められたルールがあります。
まず、角印でなければなりません。
また、表記は、縦書きで「行政書士○○之印」(○○は氏名)2行、または3行でなければなりません。
サイズは、各都道府県の行政書士会ごとに規定が異なるようです。
いくつかのサイズを選ぶことができるようですが小さいものでいいと思います。
しかし、これから仕事で長期間にわたり大活躍してもらうことになる職印ですので、ちょっといいものを購入してもよろしいのではないかと思います。
表札も掲示しなければならないと定められています。
行政書士のマーク入りのかっこいい表札を作りましょう。
サイズは大きすぎず、小さすぎず、あなたのお好みでどうぞ。
13.行政書士会入会式
登録完了通知とともに入会式の案内も届きます。
各都道府県の行政書士会の本部で開催されます。
時間は2時間ほどでしょう。
結構な量の書類が配られます。
小さい鞄だと入り切りません。
大きめのカバンを用意しておきましょう。
あと、名刺を作って挨拶しまくってもいいかもしれません。
行政書士として初めての名刺交換の場になります。
14.開業
入会式を終えれば、あなたはもう開業することができます。
といっても、開店セールなんかがあるわけではないですが。
開業と同時にホームページを公開しましょう。
または、開業準備中で公開していたサイトを正式に公開しましょう。
15.税務署に開業届、青色申告届提出
開業したらすぐ、税務署に開業届を提出してください。
提出は開業から1か月以内とされていますが、入会式の次の日には提出しましょう。
そして、同時に青色申告承認申請書も提出しましょう。
先延ばししないで、すぐにやりましょう。
16.事務所用口座開設
事務所の名前で口座を開きましょう。
今後の取引は全てこの口座になります。
口座は一つに限るわけではなく、いくつかあってもいいと思います。
依頼者が振り込むことを想定して使いやすい金融機関をいくつか選びましょう。
地元の地方銀行、郵便貯金、信用金庫、大手の都市銀行などから2つ3つ選べばいいのではないかと思います。
最後に
ということで、あなたは行政書士事務所を開業しました。
これから先、様々な苦難があなたを待ち受けていることでしょう。
もうやるしかありません。
私と一緒に乗り越えていきましょう!