行政書士として特化する仕事の分野を決めるための参考データ

一般的に、行政書士の仕事は以下のように法律に規定されています。

  • 官公庁に提出する書類の作成、代理、相談
  • 権利義務に関する書類の作成、代理、相談
  • 事実証明に関する書類の作成、代理、相談
  • その他特定業務

あなたが行政書士事務所を開業し、今後継続的に十分な報酬を得ていくためには、専門にする分野を絞った方がよい、すなわち、特定の業務に特化した方がよいでしょう。

仕事を依頼してくれる方は、行政書士を探しているのではなく、その道の専門家を探しているからです。

それでは、あなたはどんな業務に特化すればよいでしょうか。

例えば、官公庁に提出する書類とは、許認可に関わるものがほとんどですが、その種類は1万を超えるとも言われています。

あなたは、その中から何を基準に専門分野を選べばよいのでしょうか。

それを考えるためのヒントになりそうなデータを集めてみました。

まずは、行政書士の業務の種類をもうちょっと詳しく見てみましょう。

官公庁に提出する書類

官公庁に提出する書類はほとんどが許認可に関するものです。

また、特定行政書士として、許認可等に関する行政庁への不服申し立て手続きの代理業務に伴うものも含まれますが、その取扱数は少ないようです。

以下は、行政書士の取り扱い業務を各省庁に分類して抜粋したものです。

厚生労働省関係

  • 保育所申請(許可)
  • 介護保険事業届出(指定)
  • 飲食店営業申請(許可)
  • 喫茶店営業申請(許可)
  • 旅館業申請(許可)
  • 美容所届出(届出)
  • 動物取扱業届出(届出)
  • コインランドリー届出(届出)

国土交通省関係

  • 建設業申請(許可)
  • 貨物自動車運送業申請(許可)
  • 旅客自動車運送事業申請(許可)
  • 倉庫業登録(届出)
  • 宅地建物取引業申請(許可)

環境省関係

  • 一般廃棄物処理業申請(許可)
  • 産業廃棄物処理業申請(許可)
  • 浄化槽工事業申請(許可)

文部科学省関係

  • 学校法人申請(許可)
  • BGM等で音楽を利用する場合の申請(許諾 )

財務省関係

  • 貸金業届出(登録)
  • 酒類販売業申請(免許)

警察庁関係

  • 風俗営業申請(許可)
  • 料理店・社交飲食店申請(許可)
  • 低照度飲食店申請(許可)
  • 深夜における酒類提供飲食店営業届出(申請)
  • 古物営業申請(許可)
  • 道路使用の営業申請(指定)

その他各省大臣または都道府県知事

  • 社団法人申請(許可)
  • 財団法人申請(許可)
  • NPO申請(許可)

上記は、ほんのごくごく一部です。

権利義務に関する書類

権利義務に関する書類というのは、権利の発生、消滅、変更、存続の効果を生じさせることを目的とした意思表示を内容とする書類のことを言います。

主なものとしては、以下のとおりです。

  • 遺産分割協議書
  • 贈与契約書
  • 売買契約書
  • 消費貸借契約書
  • 使用貸借契約書
  • 賃貸借契約書
  • 念書
  • 示談書
  • 協議書
  • 内容証明
  • 陳情書
  • 定款

事実証明に関する書類

事実証明に関する書類というのは、社会生活における交渉事において必要な事項を証明する似た律文書のことを言います。

主なものとしては、以下のとおりです。

  • 測量図
  • 案内図
  • 議事録
  • 会計帳簿
  • 貸借対照表
  • 損益計算書

その他特定業務

詳しくは他に譲りますが、以下の3種類です。

  • 社会保険労務士の一部の業務
  • 入国管理における業務
  • 特定行政書士による不服申し立てに関する業務

これから熱くなるのは、入国管理業務でしょうね。

報酬額から特化分野を考えてみる

上に挙げたように行政書士の業務としては様々なものがあります。

ここからは、それらの報酬額という観点から見てみましょう。
日本行政書士会連合会は5年毎に全国的な報酬額統計調査を実施しています。
その数字をまとめてみました。

ます、最初にことわっておきますが、以下のデータに関して、日本行政書士会連合会が全国の行政書士に対して行った調査の結果ですが、どの程度の割合で回答があったのか不明です。

また、地域的な観点は完全に抜け落ちています。
したがって、相当ぼんやりととしたデータではありますが、見方によっては何らかのヒントにはなると思います 。

回答数

調査に対する各業務における回答数を多い順に並べてみました。

回答数が多いということはその業務を行っている行政書士が多いということで、需要が大きいと言えます。

1位 建設業変更届、2位 建設業許可申請で、建設業関係のワンツーフィニッシュです。許認可といえば、建設業といわれますが、やはりそうですね。

上位30位までのグラフですが、分野別に言うと、建設業が12、農地法関連が6、相続関連、自動車登録関連が3ずつとなっており、建設業はベスト30の内の40%を占めています。

また、許認可に関するものがベスト30の内、80%を占めています。 ちなみに、4位の経営状況分析申請、6位の経営規模等評価申請というのは建設業に関わる申請です。

平均報酬額

続いて、下のグラフが平均報酬額を高い順に並べたものです。

100万円をこえるものが、2件あります。

上位の業務の多くは、回答数が少なく、最小報酬額と最大報酬額の差が大きいものが多く、特別な事情があるものが含まれているように思います。

しかし、このような高額案件の可能性もあるというのは夢のある話ですね。
その反面、責任も大きくなると思いますが。

次に、平均報酬額を低い順に並べたのが下のグラフです。

低料金の業務には手を出したくないと考えがちですがこれを見ると決してそうとも言えません。

例えば建設業に関わるものが報酬額ワースト30に含まれていますが、これらは定期的に発生する業務と考えられます。

単発の依頼で低料金の業務をメインにするべきではないですが、総合的に考えた方がいいですね。

回答数×平均報酬額

回答数と平均報酬額を見てみましたが、回答数=需要が多くても報酬が低いかもしれませんし、報酬額が高くてもあまり需要がないかもしれません。

ということで、指標として、回答数×平均報酬額でまとめてみました。

しかしながらこれも一部は特別な高額報酬に引っ張られたデータとなっていると考えられます。

回答数×最頻値報酬額

そこで、平均値ではなく、最頻値を使ってみました。
最頻値は単純に一番多い額であると思われます。
回答数×最頻値でまとめたものが下のグラフです。

やはり、建設業許可申請ですね。1、2、3位独占です。
ベスト30の内13が建設業関連です。
もうこれしかないという感じですね。

ただし、あなたが開業した地域によっては事情が異なるかもしれません。
都市部と地方では異なるかもしれません。
地元の状況をよく見極め、需要をつかみ特化する専門分野を決めなければなりません。

このデータが少しでもその参考になれば幸いです。


これらのデータは、日本行政書士会連合会のホームページで公開されていますので、もっと詳しく見てみたい方は、そちらのほうを確認していただければと思います。

ここではベスト(ワースト)30という形でまとめていますが、元のデータは、285の業務に関するデータとなっております。

ただし、PDFで表が並んでいるだけなので、ここにあるような形にまとめて、分析するのはひと手間かかると思います。

興味のある方はがんばってみてください。